チープカシオを夫婦で3本。
F-91W・A168WA・A158WEAの違い
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腕時計に何万円もかけていません。私が使っているのはカシオのF-91WとA168WA-1Wの2本で、合わせても5,000円ほど。妻はA-158WEA-9JFを使っているので、我が家には3本のチープカシオがあることになります。
いわゆるチープカシオ。安いから妥協して選んだ、という話ではありません。実際に使ってみると、日常で必要な機能はひととおり入っていて、軽くて、電池も何年も持ちます。しかもこの時計には、値段からは想像しにくい話がいくつもついて回っています。
その中身を、確かな部分と、そうでない部分を分けて書きます。
この3本、実は全部が兄弟ではない
まず、よく混同される点から。3本とも見た目は似ていますが、系譜は同じではありません。
| F-91W | A168WA-1W | A-158WEA-9JF | |
|---|---|---|---|
| 使っている人 | 私(普段使い) | 私(仕事用) | 妻 |
| バンド | 樹脂(ウレタン) | ステンレス | ステンレス |
| 文字盤 | 黒 | 黒 | ゴールド |
| ライト | LEDライト | ELバックライト | ライト |
| 系譜 | F-91W系 | F-105W系 | F-91W系のメタル版 |
| 防水 | 日常生活用防水(3気圧相当) | 日常生活用防水 | 日常生活用防水 |
| 実売価格 | 1,500〜2,000円台 | 3,000円台 | 1,000〜3,000円台 |
A168WAは「F-91Wのメタルバンド版」だと思われがちですが、違います。F-91Wのメタルバンド版はA158WAやA159WAのほうで、A168WAはF-105Wのメタルバンド版にあたります。
つまり我が家の3本は、F-91W(樹脂の本家)、A-158WEA(そのメタル版)、A168WA(別系統)という並びです。似た見た目で3本あるように見えて、実は2つの系統が混ざっています。
細かい話に見えて、使うと差が出ます。いちばん体感するのはライトです。F-91Wは小さなLEDが文字盤の一部を照らすだけなので、暗いところでの視認性は正直よくありません。A168WAのELバックライトは文字盤全体がぼんやり光るので、夜中に時間を見るならこちらが明確に上です。
F-91W:1989年から作り続けられている定番
F-91Wは1989年発売。もう35年以上、基本設計を変えずに作られ続けています。
機能は日常生活用防水、LEDライト、ストップウォッチ、アラーム、オートカレンダー。型番の末尾の「W」はWATER RESIST(防水)の頭文字です。
数字で驚くのは、いまも年間300万台ほど生産されているとされること。世界でもっとも売れている腕時計のひとつ、と言われるのはこのためです。
そして21gという軽さ。着けているのを忘れます。子どもを抱っこするとき、時計が硬く重いと当たって気を使いますが、これはその心配がありません。
A168WA-1W:メタルバンドで、少しだけよそ行き
A168WA-1Wは、樹脂ケースにステンレスバンドを組み合わせたモデルです。3,000円台。
同じチープカシオでも、F-91Wが完全に普段着なのに対し、こちらは少しよそ行きの顔をします。メタルバンドというだけで、Tシャツでも襟のあるシャツでも浮きません。1980年代のデジタル時計をそのまま持ってきたようなデザインが、かえって今の服装に合います。
前述のELバックライトに加えて、ストップウォッチ、アラームを搭載。日常生活防水も備えています。
使い分けははっきりしています。F-91Wはカジュアルな服装と日常使い、A168WA-1Wは少しフォーマルな服装やビジネスシーンです。
どちらも数千円なので、2本持つことに抵抗がありません。ここが高い時計とはまったく違うところで、「傷つけたくないから今日はやめておく」が起きません。
妻が使っているA-158WEA-9JF:ゴールド文字盤の定番
我が家の3本目は、妻のA-158WEA-9JFです。
前の表のとおり、これがF-91Wの正統なメタルバンド版にあたります。シルバーのケースとバンドに、ゴールドの文字盤。日付・曜日表示、ストップウォッチ、アラーム、ライトを備え、防水は日常生活用です。
同じメタルバンドでも、A168WA-1Wとは印象がかなり違います。A168WAは黒い文字盤で無骨に見えますが、こちらはゴールドの文字盤が光を受けて華やかに見えます。
型番の末尾が変わっているので注意
買うときに1つだけ引っかかりやすい点があります。この時計には、末尾が違う2つの型番が流通しています。
| 型番 | 位置づけ | 文字盤の違い |
|---|---|---|
| A158WEA-9JF | 旧型番。カシオの国内サイトからは終売で、いまは並行輸入が中心 | 「WR」が太い赤文字 |
| A158WEA-9JH | 現行モデル | 「WR」が赤い枠で囲まれている |
中身はほぼ同じで、見分けるポイントは文字盤の右下にある「WR」(WATER RESIST=防水)の書き方です。旧型番の9JFは赤い文字、現行の9JHは赤い枠囲み。
価格も流通の違いで幅が出ます。現行の9JHは3,300円前後ですが、並行輸入の9JFは1,000円台で見つかることもあります。安く買えるのは魅力ですが、並行輸入品は保証の扱いが店ごとに違うので、そこは確認してから決めてください。
この時計が「あいみょんモデル」と呼ばれている話
A-158WEA-9JFには、ちょっとした通り名があります。「あいみょんモデル」です。
きっかけは、シンガーソングライターのあいみょんさんのSNS投稿です。写真にこの時計が写っていたことから、そう呼ばれるようになりました。
写っていたのは現行モデルではなく、前述の旧型番のほうです。つまり「あいみょんモデル」が指しているのは、いま店頭にある9JHではなく9JFです。この呼び名で探すなら、そこだけ見ておいてください。
とはいえ、選ぶ理由としては弱いと思います。ゴールドの文字盤が好きかどうか、メタルバンドが自分の服装に合うかどうか。決め手はそこで十分です。
安い時計を、仕事の場で着けていいのか
ここは気にする人が多いところだと思います。実際に自分がビジネスシーンで使っているうえで、思っていることを書きます。
結論から言うと、業種と場面によります。金融や高級品を扱う仕事、相手の持ち物を見る文化が濃い場では、時計が評価の対象になることは実際にあります。そういう場に出る人は、素直に別の選択をしたほうがいいと思います。
一方で、多くの職場ではそこまで見られていません。腕元をじっと観察されることは、そうそうありません。むしろ気にすべきは、ブランドや価格より次の2点だと考えています。
- 全体の服装と合っているか:シャツやジャケットに樹脂バンドを合わせると浮きます。メタルバンドなら、そこは解消されます
- 手入れされているか:バンドが汚れていたり、傷だらけだったりするほうが、金額よりよほど印象に響きます
A168WA-1Wを仕事用にしているのは、この2点をクリアできるからです。樹脂ケースにステンレスバンドという組み合わせが、シャツの袖口から見えても不自然になりません。1980年代のデジタル時計の見た目は、いまはむしろレトロな意匠として受け取られます。
それでも不安なら、高い時計を買う前に一度3,000円で試してみる、という順番でいいと思います。合わないと感じたら、そのとき考えれば済む金額です。
著名人が着けている、と語られている話
チープカシオは「安いのに有名人が使っている」という文脈でよく紹介されます。ただ、この手の情報はまとめ記事から別のまとめ記事へと写されていくうちに、確認できない話が混ざりがちです。確度を分けて書きます。
作品の中での着用として挙げられているもの
映像に残っているぶん、確認しやすい例です。ただし役柄としての着用なので、本人が私生活で愛用しているかは別の話になります。
- 星野源さん:映画『地獄でなぜ悪い』(2013年)での着用が挙げられています
- 堤真一さん:ドラマ『スーパーサラリーマン左江内氏』での着用が挙げられています
- 川口春奈さん:ドラマ『silent』での着用が挙げられています
私物として語られているもの
- バラク・オバマ元大統領:上院議員時代や選挙運動中の写真にF-91Wが写っている、という形で紹介されることが多い例です。写真という根拠がある点で、比較的確度は高いほうだと思います
- 木村拓哉さん、小栗旬さん:計算機機能つきのモデルを使っていたとされます
- 中丸雄一さん、岩田剛典さん:アナログモデルを使っていたとされます
- ビル・ゲイツさん、エド・シーランさん:チープカシオの愛用者として名前が挙がります(前述のあいみょんさんは、型番までセットで語られている数少ない例です)
ここで正直に書いておきたいことがあります。上のうち多くは、一次情報にあたるのが難しく、しかも「チープカシオ」とだけ書かれていて具体的な型番が分からないものが少なくありません。F-91WやA168WAとは別のモデルである可能性も十分にあります。
海外では、この時計にまつわる逸話が孫引きで広まっていることを指摘する記事も出ています。「有名人が使っているから良い時計だ」という理由で選ぶ必要はありません。実物が2,000円で、軽くて、電池が数年持つ。それだけで十分に選ぶ理由になります。
F-91Wについて回る、もうひとつの話
この時計を調べると、必ず出てくる話があります。2011年に公開されたグアンタナモ収容所の内部文書に、F-91Wが名指しで記載されていた、というものです。安価で入手しやすく世界中に流通しているため、そうした用途に転用された例があったとされ、尋問時の着目点として文書に載っていました。
事実として報じられた話なので触れておきますが、当然ながら、この時計を使っている人とは何の関係もありません。世界で年間300万台売れている製品なら、あらゆる人の手に渡ります。むしろ「どこでも手に入り、壊れず、正確に動く」という性能の裏返しでもあります。
正直な弱点
安いなりの割り切りは、当然あります。
- ウレタンバンドは加水分解で劣化する:F-91Wのバンドは経年でベタついたり切れたりします。数年で交換部品扱い、と考えておくのが現実的です。バンドだけ交換もできます
- F-91Wのライトは暗い:文字盤の一部しか照らしません。夜間の視認性を求めるならA168WA-1WのELバックライトのほうです
- 高級感はない:樹脂ケースの見た目そのままです。フォーマルな場に着けていく時計ではありません
- 防水は日常生活用まで:手洗いや雨は問題ありませんが、水泳や潜水には向きません
とくに1つ目は、買う前に知っておいたほうがいい点です。「一生もの」ではなく、「安いので気楽に買い替えられる」時計だと理解しておくと、期待がずれません。
家計の視点で、この選択をどう見るか
このサイトでは、固定費は削るけれど毎日使う小さなものは削らない、という考え方で書いてきました。腕時計はその例外に見えるかもしれません。
ただ、腕時計に関しては、高い側を選ぶ理由が自分にはありませんでした。時刻を知るだけならスマホで足ります。それでも腕時計を着けるのは、子どもを抱えていたり荷物を持っていたりして、スマホを取り出せない場面が1日に何度もあるからです。
その目的なら、2,000円で足ります。むしろ、ぶつけても濡らしても気にせず使えることのほうが、この生活には合っています。高い時計を1本買って大事にしまっておくより、安い時計を2本、毎日雑に使うほうが、我が家では役に立っています。
お金をかける場所とかけない場所を分ける、という話は働く親の「買ってよかったもの」まとめにも書きました。
よくある質問(FAQ)
F-91WとA168WA-1W、どっちを買えばいい?
軽さを最優先するならF-91W(約21g)、暗い場所での見やすさと少しきちんとした見た目を求めるならA168WA-1Wです。F-91WのLEDライトは文字盤の一部しか照らしませんが、A168WA-1WはELバックライトで文字盤全体が光ります。価格差は1,000円ほどなので、用途が違うなら両方持っても負担は小さいです。
A168WAはF-91Wのメタルバンド版?
違います。F-91Wのメタルバンド版はA158WAやA159WAで、A168WAはF-105Wのメタルバンド版にあたります。よく混同されますが、ライトの方式なども異なります。
仕事の場で着けても失礼にならない?
業種と場面によります。金融や高級品を扱う仕事など、持ち物が見られる文化が濃い場では別の選択が無難です。ただ多くの職場では、価格より「服装と合っているか」「手入れされているか」のほうが印象を左右します。私はビジネスシーンではメタルバンドのA168WA-1Wを使っていて、シャツの袖口から見えても不自然にはなりません。樹脂バンドのF-91Wは、そこでは浮きやすいです。
A158WEA-9JFと9JH、どっちを買えばいい?
中身はほぼ同じです。9JFが旧型番で、カシオの国内サイトからは終売しており、いまは並行輸入が中心。9JHが現行モデルです。見分け方は文字盤右下の「WR」で、9JFは太い赤文字、9JHは赤い枠囲みになっています。価格は9JFのほうが安く見つかることがありますが、並行輸入品は保証の扱いが店ごとに違うので、そこを確認してから選んでください。
「あいみょんモデル」って本当?
あいみょんさんのSNS投稿にこの時計が写っていたことがきっかけで、そう呼ばれるようになりました。ただし写っていたのは現行モデルではなく旧型番のほうなので、「あいみょんモデル」を探しているなら9JFと9JHのどちらなのかを確認してください。見た目はほぼ同じなので、実用の面で選ぶなら文字盤の色や服装との相性で決めて構いません。
電池はどのくらい持つ?
F-91WはCR2016を使い、公称の電池寿命は約7年です。実際にはそれ以上持ったという報告も多く見かけます。電池交換の費用を考えても、数年に一度なので負担にはなりません。
バンドが切れたら買い替え?
交換用のバンドが流通しているので、バンドだけ替えられます。ただしF-91Wは本体が1,500〜2,000円台なので、交換の手間と費用によっては買い替えたほうが早い場合もあります。ウレタンバンドは加水分解で劣化するものだと割り切っておくと気が楽です。
お風呂やプールで使える?
向きません。どちらも日常生活用防水(F-91Wは3気圧相当)で、手洗いや雨に耐える程度です。水泳や潜水には対応していません。水回りで使い続けると、バンドの劣化も早まります。
まとめ:安いことが、いちばんの機能
チープカシオを2本使ってみて思うのは、この時計の最大の機能は「安いこと」だということです。
- F-91Wは1989年から続く定番。約21g、電池寿命は公称7年、実売1,500〜2,000円台
- A168WA-1Wはメタルバンドで、ELバックライトにより夜間の視認性が高い。3,000円台。仕事の場で使うならこちら
- A-158WEA-9JFはF-91Wの正統なメタル版で、ゴールド文字盤。旧型番の9JFと現行の9JHは「WR」表記で見分ける
- A168WAだけはF-91Wの兄弟ではなくF-105W系。混同されやすい
- ウレタンバンドの劣化と、F-91Wのライトの暗さは割り切りが必要
- 著名人の愛用として語られる話は、型番が特定できないものも多い
F-91Wはカジュアルと普段使い、A168WA-1Wはフォーマルな服装とビジネスシーン。この2本で、仕事の日も休みの日もまかなえています。妻のA-158WEA-9JFを合わせても、3本で1万円に届きません。
高い時計を買って気を使いながら使うより、安い時計を気にせず使うほうが、子どもがいる生活には合っていました。時刻を知るという目的に対して、2,000円は十分な投資だと思います。
持ち物全体は働く親の通勤カバンの中身にまとめています。
この記事について
3本とも我が家で実際に使っています(A-158WEA-9JFは妻のものです)。スペックや歴史は公開されている情報を整理したもので、著名人の着用に関する記述は、報道やまとめ記事で語られている内容です。一次情報にあたれないものや型番が特定できないものが含まれるため、断定を避けて記載しました。
- カシオ・F-91W(Wikipedia)
- 世界で変わらず愛される「カシオF-91W」海外セレブもチプカシを愛用(NewSphere)
- 木村拓哉に星野源も愛用、1000円台の「チープカシオ」がキテる(ライブドアニュース)
※ 価格・仕様は変動します。購入前に販売ページで最新情報をご確認ください。
このテーマのまとめ 働く親の「買ってよかったもの」まとめ。在宅ワーク・家事・通勤で本当に役立った物 共働き・子育て中の働く親が買ってよかったものを、価格つきの一覧とシーン別にまとめました。デスク環境のガジェットからスマート家電、通勤の持ち物まで。予算1万円で何を買うか、そしてあえて買っていないものとその理由まで、実体験とリサーチをもとに正直に紹介します。